身投散歩とは「片道切符分のお金だけ持って電車に乗り、降りたところから歩いて家に帰る(しか、選択肢がない)」そのような行為、です。
先日4月30日の休日は「妙見山下り」と題しまして電車、ケーブルーカー、リフトを乗り継いで妙見山の山頂付近へ行き、そこから南森町の自宅へ歩いて帰りました(本来は片道切符分だけのお金しか持たないルールですが、途中の食料代他スマートフォンも持つイージー・カジュアル・モードです)。
北から南へ、事前のルート検索によると約35km。フルマラソンにも満たない距離を、走るのでなく歩くのだからきっと余裕でしょう。いつもは平坦な道を45kmくらい、但し今回は山、けれど下り、だから大丈夫、という目論見です。
時折スマートフォンで写真を撮る他は記録はとってないので、その写真を頼りに(無加工の写真多数、ページ重いです)。
先ずは能勢電鉄の妙見口駅へ。貨物車。背後の建物には「義」一文字が掲げられている。
駅を出て、観光地っぽいところ。ここに写っている他に古い食堂があって、そういうところでただのうどんが食べたいものです。イノシシが有名らしく、そのような食事やお土産も売っています。普通の旅行なら食べたかった。
在庫を持たない衣料店。
妙見口駅からケーブルカーの黒川駅を目指す道中、の廃屋。隣接は火事で焼けていたので、それに伴ってと思われます。
道中の脇あった小屋。天狗が云々、という工作室か展示室か、で、お面が飾られていて遠目に少しびっくりしました。
今日の標語。まさしく、帰ろう。
ケーブルカーの黒川駅に到着。こういうの乗るの久しぶり、というか逆に前回は何処で乗ったのか。待っていると、スジャータの人(めいらく)が例の車(ターャジス号と呼んでいます)に乗ってやってきて、飲料やカップコーンなどの荷物を載せていった。検札のおばさんもそれを手伝いつつ無線で上へ連絡。物流……! と思いました。
出発。おもしろポイント。単線だけど向こうからも下りカーがやってくる。わーぶつかる……! と思いきや、線路の中心で分岐していてすれ違う。演出か? と思ったけど、単線で2台運用するなら、同時発着で途中交差、しかないですね(……一台で往復を増やせばいい気もするが)。
乗車中、子供が「鹿だ!」と叫んで乗客は窓辺へ。「ああ、ホントだ鹿がいる!」「茶色だからわかりにくいね」と本当にいたようですが、反対側に座っていた一人客の僕は「鹿だー!」と移動する雰囲気を作りにくく見れませんでした。ともあれ、これが一回目の野生動物との遭遇。
山上駅へ。写真はあまり撮ってないけど、バーベキュー用のスペース他、子供が遊べる公園になっている。で、かわらけ投げ。かわらけ、なるフリスビーを的に向かって投げる遊び。このかわらけにはプラスチックなど自然に還らない有害物質が含まれており観光客が投げた後に野生動物が食べてしまうなど深刻な問題になっている、わけはなく、投げ捨ててもいい素材なのでしょう。今調べたら、観光用の悪ノリ思いつきの遊びでなく伝統的な遊びで、他でもやってるところあるみたい。人気でした。
山頂(付近)を目指して再び、今度はリフトに乗る。そういうものだろうけれど、小さい椅子にベルト等もなく、ふざけてると本当に落ちる。それほど高さは無いけれど。乗り場では紛失物の話をしている人達がいたので物を落とすこともよくあるみたい。
乗車時間結構長い。僕の前後に人は無く、向かい合うリフトも無人が続くと、自然の中で浮遊する椅子だけが静かに往復する様子が見れて、何と言うか輪廻の最中にいる感覚。私は死に向かい、同時に誰かが再び生を受ける。
到着。妙見山の山頂、ではないがその近く。長くなりましたが身投散歩としては、ここがようやく出発地点。先ずは近くの駐車場へ向かう。つまり、車でここまで来れるのであり、リフトはむしろそこから先ほどの遊園へ向かう出発地点、が多いのかしら。
駐車場から府道四号線へ。あとは殆どひたすらひたすらひたすらこうした道路を行くのみ。
車に轢かれたと思しき蛇の死体。遠目には一瞬、魚類を連想した。穴子とか。野生、じゃなく野死動物との遭遇。緊張しました。まだ出発地点から近く、余談ですがこの辺で女性用下着が一定距離ごとに落ちていて(いっこいっこ種類も違う)それも怖かった。
側溝でがさごそと音。見ると(見えにくいですが写真中央)、小さなけだものが行き戻りしている。たれかしら。
側溝の落ち葉のたまった部分をがさごそがさごそとひっくり返す。最初、身を隠しているだけだと思ったけど、ここは排水溝になっていて、道路下の山林部分へと繋がっていたのでした。
で、こちらで再びがさごそと動き回っている。最初、大きさからして狸?かと思ったんだけど、一瞬こちらを向いた時、細い目をしていたのでそうではなく……猪とも違うような。ふうむ。
中腹の集落に。
石仏が時折。解説の看板もあります。
集落のそこかしこで、農作業中。
全方向にマルフクとニチデンの看板。ありがちな風景ですが、この執拗さというか、かつて電話金融が如何に栄えたか、ということでしょうか。
無人販売小屋。なるほど、盗難を防ぐため、神棚風になっている(路傍の鳥居のように)。なんか、きのこ、みたいなん売ってあって、欲しかったけど荷物になるので断念。
もくもくランドです。
そうめん流し、が名物の旅館。
右手小屋に竹の流し台。それらしき、が外からも確認できます。
こういうの、何て言うんでしょう。水田? 水鏡になっていて綺麗。森や山はフラクタルで描写されるけれど、水面はぴったり平面で、同じ自然だけどその対比が面白い。
マリアの墓。この辺り切支丹大名が云々というのがあるらしく。
17時。時報が大音量で鳴る。たまたまこのタイミングでサイレンの近くにいた。消防施設の分署。たかが17時になったことをこんなに大きな音で報せる必要ある? と思ったけれど、ここに至るまで農作業に従事する人達多数、これを切っ掛けに「じゃあ今日は終わりましょうか」となるわけか。晩鐘。
クマも出るらしい。へー、大阪にもクマがいるんですね。
遊歩道が出現。道路歩くのは危険なので助かります(峠を攻める系の車が多く。スピード違反ではないと思うけど勢いある)。
とぼとぼ歩いていてふと見上げると手すりに、猿! 野生動物と再びエンカウント。でも、これ襲ってくるやつじゃなかろうな。撮影も遠くから。この後、そのまますれ違います。
ご一家、5匹くらいいました。この辺の猿は有名みたいです。
トンネルへ。トンネル徒歩で行くと怖い。
トンネル抜けると、ダムでした。写真じゃあれだけど、突然の壮観でびっくり。
予め調べたGoogle Mapの経路ではこの道を行けという。これまでも、府道・車道から外れた道は幾つかあって、上級者向け、といった感でしたけど、これは厳しい。この時、18時頃で、日没が恐ろしかった。車道にも街灯の類は皆無。どうしようかと逡巡している合間にも、虫が首筋にぽたりと落ちてくる。再び端末を確認し、大回りでなんとかなること確認する。もっと早く来てればねえ。ここはまた何時か挑戦したい。
駐車場あり、しばらくいくと箕面大滝。迂回故の遭遇。本来、滝を観るポイントはここから遊歩道で下るのだけれど寄り道の気力なく、ここからチラとだけ観光。
ようやく町が見えた。なんてことない写真だけれどずーっと山道を歩いて来たのでこれでほっとしました。平野にペターっと街が広がる様子は、途中でみた水田を連想させます。
日没。満月もくっきり大きく。写真だと何ともないけれど、ふだん街から見上げる月と違って、空と地の合間にある感じ。頭上でなく目前に月がある、ように見える。
ここが山道の入口。山と街の境界線は想像以上にくっきり明確で、道路一本が境界。
箕面の山中を行く有料道路の入口。距離的にはこれでまだ半分。だけれど、後は箕面、千里中央へと、なんてことない道が続きます。いつもの身投散歩ならこれが全て。
工事中。北大阪急行を箕面まで伸ばしてるんですってね。そういえばそんな話を聞いたことあるな。なんて地味な。それよか地下鉄大正駅以南を伸ばしておくれ。
外から見る千里中央。千里中央って、街というより建物が全てという印象があったので、外から眺めるのは新鮮。外があったのか、千里中央に。
けた下制限1.5M。低い。自転車の人は首をひねりながら。
淀川を渡って、天神橋筋八丁目。アーケードは一丁目から六丁目ですが、七丁目も「てんひち」として商店街、そして八丁目、淀川のぎりぎりまでは街灯と看板が続く「ふれあいの街」(商店街ではない?)となっています。一連としては最北端、だけど、日本一長い商店街を観光に来てここまで来る人は少ないでしょう。
まとめ
身投散歩がどうというより、わりと普通の、山ならではの楽しさ、と相成りました。