先ずはこちらの写真を御覧下さい。
これは大阪駅の改札付近にある「のりこし精算機」です。堂々とした「のりこし精算機」の青い看板が目立ちます。さすが日曜日の夕方ともあって、行列が出来ていますが、充実の2台体制。勿論、駅改札口は他にも複数あり、当然、のりこし精算機はこれ以外も多数あります。
いや素晴らしい。駅によってはのりこし精算機の位置が微妙で、わかりにくかったりする。改札の直前まで来て、のりこし精算機何処!ってなって、そっちかいやと、わざわざ引き返せねばならなかったり。そういう時は、もっと目立つ看板でも置いて! と思う。のりこし精算機、とても大切なんだから。
そういえば、ちょっと前から、ICカードで10円単位でチャージができるようになり、のりこし精算がスムーズになった(のりこし精算というより、のりこした分だけチャージですが)。ソフトウェアも進化している。以前は、折角ICカードで乗っているのに、乗り越したら、別途、出場のためだけの精算券が発行されたりしたのだった。余計なゴミは出ないし、素晴らしい。
この看板を見て思ったんだけど、のりこし精算機のこと英語で「Fare Adjustment」と言うのか。ふーん。アドジャストメント……きっちりする、って感じか? 海外に行った時のために覚えておこうっと。
ふむ。
……あれ?
小さい頃、のりこし精算機の意味がわからなかった。
いや、意味はすぐわかった。
「あれは何?」「のりこし精算機」「なにそれ」「のりこした時に精算する機械」「のりこし?」「買った切符よりも、乗り越した時に差額を払うの」「……何で、最初から切符を買わないの」
そりゃ確かに、そういうことあるかもしれない。乗っている途中で気が変わって、もっと遠くへ行こうとしたり。うっかり乗り過ごして、まあいいか、ここで降りる、となった場合。
でも何で、そういうイレギュラーな事態のために、そんな大層な機械が用意されているのか。わからない。しかも、かなり重要なものとして、目立つ位置に設置され、大きく案内されている。そして多くの人が、実際にのりこし精算機を利用する。
勿論、今はわかる。のりこし精算機の、意味や機能だけでなく、その位置付けと、運用の実際。と言うか、僕は毎回といっていいほどのりこし精算機を利用する。券売機より利用する。
のりこし精算機についてはわかった。しかし、世の中には「こういうこと」が結構ある。本質から、ズレているようで、実際的には重要なことが。券売機が重要なのはわかるけど、のりこし精算機が重要ってのは……。それについて、何故そこが重要なの、と問うても、そっち側の人にとっては当たり前過ぎて、疑問に思うこと自体が想定されない。「いや、のりこししたら精算が必要でしょ?」と。
そういう事態に直面した時、いつも咄嗟に例えが出ずにいるので、今日ふと、のりこし精算しながら思い出し、メモする次第。つまり、時に概念が「のりこし精算」を必要とするわけだ。
追記
この記事を書いた後に思いついたのは「棚卸」。以前いた職場の場合、これは全職員が取り掛かる年度末の一大イベントだった。棚卸前は社内の空気がピリピリし、役割分担や手順を記した書類が配布される。その冒頭には「棚卸は当社の最重要業務のひとつです」と書かれてある。
で、棚卸とは何か。「ある時点の社内にある在庫をかぞえる」。いちにーさんし、っと。基本、そんだけ。製品を企画するでも製造するでも販売するでもなく、単に数える。うーん? たなおろし、って訓読みだし……。
まあ、在庫金額が重要なのはわかります。でも、それって、仕入れから売上引けば自ずと理論値は判明するような。誤差は発生するだろうけれど、そんなん数えたって発生するし。最重要業務にしては、やることシンプルで、手間のわりに誤差修正とは……。
勿論、今はわかる(いや、実はあんまりわかんないけど)。わかりつつ、何か概念がのりこししている事例のひとつという気もします。でも、よくわかっているほど、別になんでもなく感じるかもしれない。
他にあったら教えてください。